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漢方シンフォニー

潤腸湯(ジュンチョウトウ)

腸を潤し、排便を促す漢方薬


 漢方の「万病回春」という古典書に載っている処方。
現在でも汎用されている漢方薬処方。10種類の生薬「トウキ、ジオウ、トウニン、キジツ、オウゴン、コウボク、ダイオウ、カンゾウ、マシニン、キョウニン」から構成されており、処方の名前は字の如く、腸を潤して排便を促す処方であることに由来している。

効能・効果


 「 便秘 」
本処方の適応証は、中間証~やや虚証(体力中)、燥証(水分不足)となり、麻子仁湯の処方構成と基本、同じくします。
水分を保持し腸管を潤す「マシニン」「トウニン」、消化器を保護する「カンゾウ」、腸の動きを高める「ダイオウ」、身体への潤いを補強する「トウキ」と「ジオウ」を含み、体力保全面の強化だけでなく、便を軟らかくすることで穏やかな瀉下効果を促します。

原典【万病回春】


 老人大便不通者、是血気枯燥而閉也、治大便閉結不通


トウキ.jpgトウキ「Angelicae radix (せり科)
【分布】中国では四川、雲南省など。日本では奈良、和歌山、北海道などで薬用として人家に植栽される芳香性の多年草。
【形態】草丈60~70cm。根は肥厚し、茎は直立、分枝。花期は8~9月。枝先に白色の小さな花を多数つける。
【薬用部位】根。根を11月ごろに掘り上げ、水洗い後日干しにする。
【成分】精油のリグルチライド、サフロール、ニコチン酸、脂肪酸のパルマリン酸、クマリン誘導体のベルガテンの他、多糖体など。
【薬効薬理】精油は末梢血管拡張、解熱作用を示し、水エキスは血管透過性を抑制し、眼圧、血圧を下げる作用がある。漢方では鎮痛、鎮静、浄血、強壮薬として貧血症、腹痛、月経不順、生理痛などに用いられる。



ジオウ.jpgジオウ(熟).jpg

ジオウ「Rehmannia glutinosa Libosch.」(ごまのはぐさ科)
(左:生ジオウ、右:熟ジオウ)
【分布】中国原産、薬用として栽培される多年草。
【形態】肥大した根があり地中を匍匐。花期は初夏。葉の間から15~30cmの花茎を出し、上部に淡紅色の大形の花を数個開く。
【薬用部位】根。掘り取った根を日陰の砂地に蓄えたものを生地黄(ショウジオウ)、掘り取って直ちに日干しにしたものを乾地黄(カンジオウ)、生地黄を砂から取り出して、蒸してから干したものを熟地黄(ジュクジオウ)と呼ぶ。
【成分】イリドイド化合物のカタルポール、レオヌライド、糖としてD-グルコース、D-ラクトース、スクロースなど。
【薬効薬理】漢方では強壮解熱薬として糖尿病、前立腺肥大症、老人性腰痛、白内障、インポテンツなどに応用する。



トウニン.jpgトウニン「Persicae semen (ばら科)
~ もも(桃)~
【分布】中国西北部黄河上流地帯の原産で、古く日本に渡来し、現在は果樹として広く植栽される落葉低木か小高木。
【形態】モモの木。樹高3m内外。枝は無毛で若時には粘りけがある。花期は4~5月。出葉前に白色から淡紅色の5弁花をつける。核果は有毛で初夏に熟する。
【薬用部位】種子(桃仁<トウニン>、桃核仁)。3~4月に半開の花蕾を採集し、日干しにする。果実を夏に採集し、外の硬い殻を割って種子を日干しにする。
【成分】アミグダリン、プルナミン、酵素のエムルシン、精油、オレイン酸及びリノール酸のグリセリンエステル等。
【薬効薬理】水性エキスには、ウサギで血液凝固時間の延長が認められた。
漢方では消炎性の駆瘀血薬として、月経の不順や困難、下腹部満痛等に用いる。



キジツ.jpgキジツ
Aurantii fructus immaturus 」(みかん科)
~ ダイダイ(橙)~
【分布】インド・ヒマラヤ地方原産の常緑小高木。
日本へは古く中国から渡来。
【形態】樹高5m内外。枝にはとげがある。葉は互生し卵状長楕円形、先端がとがる。花期は初夏。こずえの葉えきに、1~数個の白色の花を開く。果実は球形で、冬に熟して黄色になる。果実は酸味が強いので食用にされない。
【薬用部位】果皮(橙皮<トウヒ>)、未熟果実(枳実<キジツ>、枳殻<キコク>)。成熟した果皮を乾燥する。未熟な果実をとり、そのままもしくは半分に横切りし乾燥する。
【成分】精油のd-リモネン、リナロール、シトラール、フラボノイドのヘスペリジン、ナリンギン等。
【薬効薬理】水性エキスには抗アレルギー作用がある。
漢方では芳香性健胃薬として、胸腹部のつかえ・膨満感等を目標に用いられる。



オウゴン.jpgオウゴンScutellariae radix 」(しそ科) 
~ スクテラリア・アモエナ ~
【分布】中国の四川、貴州、雲南などに分布し、山間の林縁に生える多年草。
【形態】草丈は10~30cm。茎は直立し、稜にそって白い呂の柔毛がある。葉は長楕円形ないしは広皮針形。長さ2~3.5cm、幅7~14mm、全縁もしくはやや粗いきょ歯があり、無柄、両面に細かい柔毛がある。総状花序は頂生。花冠は長さ2.4~3cm、紫ないし青紫色。小堅果は楕円形、褐色で柔毛におおわれる。
【薬用部位】根(黄芩<オウゴン>)。春~初夏および秋に根を掘り取り、日干しにして半乾燥したのち、コルク皮を除き、再び日干しにする。
【成分】フラボノイドのバイカリン、バイカレイン、オウゴニン等。
【薬効薬理】バイカリン・バイカレインには、抗炎症・抗アレルギー・降圧・利尿等の作用がある。
漢方では、解熱・消炎・鎮痛・止血等の効果があるとされ、健胃・下痢・鼻出血等に応用される。



コウボク.jpgコウボクMagnoliae cortex 」(もくれん科)
~ カラホオ ~
【分布】中国南部原産で、浙江、広西、湖南、湖北、四川、貴州などに分布し湿潤で冷涼な気候に適する落葉高木。
【形態】ホオノキ(和コウボク)に似る。樹高5~15m。樹皮は紫褐色、若いときは細毛が多い。葉は互生し、楕円状倒卵形で先端は丸く、基部は楔形。花期は4~5月。若枝の頂に大形(径約15cm)の白色花をつける。集合果は長楕円状卵形。
【薬用部位】樹皮、根皮(厚朴<コウボク>、唐厚朴)。5月上旬から6月下旬に乾いた樹皮または根皮をはぎとり、陰干しにする。
【成分】マグノール、ホオノキオールの他、精油(主成分はβ-オイデスモール)、タンニン、アルカロイド等。
【薬効薬理】アルカロイドにはクラーレ様作用の他、神経節遮断作用・アドレナリン増強作用・抗ピロカルピン作用が認められている。
漢方では、利尿・止瀉・鎮咳・整腸・消化薬として用いられる。また、胸腹部の膨満・腹痛等に応用される。



ダイオウ.jpgダイオウRhei rhizoma 」(たで科)
【分布】中国西部に分布し、中国では薬用に栽培され、日本でも奈良県などでわずかに薬用、観賞用に栽培される多年草。
【形態】根茎は肥厚し、黄褐色。茎は短く多数分枝する。花期は6~7月。高さ1~2.5mのよく分枝する花茎を出し、黄白色花を多数つける。
【薬用部位】根茎(大黄<ダイオウ>)。9~10月または4~5月に、3年生以上の株の根茎を堀り上げ、水洗い後、細根と表皮を除いて陰干しにする。
【成分】アントラキノン類のエモジン、配糖体のセンノサイドA~F等、タンニン類のカテキン、ラタンニン、RGタンニン等。
【薬効薬理】少量で大腸を刺激して瀉下作用を起こす。また、胆汁・膵液の分泌をやや亢進させる。
漢方では、瀉下・消炎性健胃薬として用いられる。近年、タンニン類の作用として、腎機能改善作用・向精神作用が報告されている。



名称未設定-2.jpgカンゾウ「Glycyrrhiza 」(まめ科)
【分布】ソビエト連邦のウラル地方、モンゴルおよび中国北部に分布し、日本でもまれに栽培されることがある耐寒性の多年草。
【形態】草の丈は30~80cm。ときに1mに達する。根茎は円柱形で横走し、主根は長く粗大。
【薬用部位】根およびストロン。根を掘り上げ、水洗いの後日干しにする。
【成分】根にトリテルペノイド系サポニンで甘味を有するグリチルリチンのほか、アスパラギン、ブドウ糖、ショ糖、マンニット、苦味質、リンゴ酸、フラボノイドのリクイリチン、リクイリチゲニン、ネオリクイリチンなどを含む。
【薬効薬理】グリチルリチンの分解産物のグルクロン酸は生体の肝臓で有害物質と結合してグルクロナイドになり解毒作用を示す。グリチルリチンは抗アレルギー作用があり、皮膚科領域で応用されている。また近年甘草エキス、グリチルリチン、グリチルリチン酸に抗炎症、副腎皮質ホルモン様作用のほか、グリチルリチンの誘導体のビオガストロンに抗潰瘍作用が認められた。また甘草エキスには鎮咳作用、免疫抑制効果も報告されている。緩和、矯味、鎮痙、去痰薬として用いられ、多くの漢方処方に配剤され、天然の甘味料としても用途が多い。



キョウニン.jpgキョウニン「Armeniacae semen 」(ばら科)
〜 アンズ 〜
【分布】中国北部原産で、世界各地で果樹として栽培される落葉小高木。日本での生産地は長野県、青森県。冷涼で生育期間中に比較的乾燥する地帯を好む。
【形態】樹高5m位。樹皮は堅い。葉は互生し、卵円形あるいは広楕円形、先端はとがっている。花期は春。葉より先に淡紅色で5弁の花を開く。果実は生のまま食べられ、また乾燥して乾杏を作る。
【薬用部位】種子(杏仁<キョウニン>)。6月頃果実をとり、その中の種子を日干しにする。
【成分】アミグダリン約4%、脂肪油約35〜50%を含む。アミグダリンは酵素で加水分解されてベンズアルデヒド、青酸、ブドウ糖を生ずる。
【薬効薬理】種子を圧搾してキョウニン油をとり、軟膏基剤、油性注射薬の溶剤、毛髪油、コールドクリーム等に使われる。
漢方では鎮咳・去痰薬として、喘息・咳・呼吸困難・身体の浮腫等に用いる。



マシニン.jpgマシニンCannabis fructus 」(くわ科)
〜 アサ 〜
【分布】中央アジア原産で、古代に渡来し繊維作物のほか、薬用、食用として栃木、長野、岩手、広島、熊本などで栽培される1年草。
【形態】草丈1.5〜3m。茎は直立し鈍四稜形、緑色で細毛がある。葉は対生し、長柄がある。枝先の葉は互生し、掌状5〜9深裂、きょ歯緑。花期は夏。雌雄異株で雄花穂は円すい状、雌花穂は短い穂状、そう果は卵円形でやや扁平。
【薬用部位】種子(麻子仁<マシニン>)、未熟果穂を含む枝先および葉(大麻<タイマ>)。7月中、下旬に種子を採集して乾燥する。
【成分】パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等。
【薬効薬理】マシニンの油性成分には、便を軟らかくして排便を促進する粘滑性緩下作用がある。
漢方では下剤として用いられる。