日 時 : 平成23年3月28・29・30・31日(於 静岡)
去る2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
東北地方太平洋沖地震とそれに伴う交通機関等の乱れなどによって日本薬学会第131年会の開催は中止となりましたために、機関誌でのポスター発表とさせていただきました。
2011年3月29日
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日本薬学会第131年会
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日本薬学会第131年会で松下泌尿器科の松下全巳先生のご協力のもと発表にいたりました。
今年で一区切りとなりこの研究の最終報発表となる今回の『過活動膀胱患者の服薬コンプライアンスに与える影響因子の検討』最終報 P-0717はコハク酸ソリフェナシンを用いた患者の服薬コンプライアンスに起因するさまざまな要因を細分化し、過活動膀胱症状と服薬コンプライアンスを調査いたしました。対象症例数も100を超えこの研究の最終報としての締めくくりのデータとなっております。
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29P-0717
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過活動膀胱患者の服薬コンプライアンスに与える影響因子の検討(最終報)
◯片岡 憲稔 1,松下 全巳 2,鎌足 雅之 1,三谷 高徹 1
( 1 春日野薬局,2 松下泌尿器科医院)
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【緒言】
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過活動膀胱(OAB)は、突然の尿意切迫感を主症状とする疾患であり、重症例では不眠や外出が困難になるなど、QOL を著しく制限する疾患である。
我々は、OAB 患者の服薬継続率の実際、服薬中断に至った理由を3 年間に亘り調査してきた。
以前の調査結果によると、服薬中止は、薬剤の効果に満足したことによる自己判断や、家族や都合を優先することが中断理由であった。今回はさらに調査症例数を増加し、年齢、症状の程度などがどのようにコンプライアンスに影響を与えるのか検討した。
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【対象・方法】
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OAB と診断され、初めてコハク酸ソリフェナシンを投与された患者(n=83, 女性65 名, 年齢65.3±12.2)を調査対象とした。服薬継続率は薬局のレセプトコンピュータに基づいて算出し、診断時における患者の状態は、過活動膀胱症状質問票(OABSS)およびQOL 質問票を用いて調査した。投与中止・脱落例に対しては、その理由を投薬カウンターや電話によって追跡調査した。
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【結果・考察】
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服薬状況は症状によって変動し、自己判断による休薬が多くの患者に認められるが、半年以上の経過観察期間を設けると、患者全体では1 年後で約50%の継続率であった。後期高齢者やOABSS スコアが中等症以上、および尿漏れの経験がある患者はいずれも継続率が高い傾向にあり、1 年後においても80%を越える群もあったが、74 歳以下や軽症の群では約40%に低下する群もあった。追跡調査による服薬中断理由として、副作用や経済的な理由を挙げた患者はほとんどおらず、薬物治療によって症状が軽快したことによる自己判断や、薬剤とは無関係な理由が多数であった。OAB 治療薬に対する服薬コンプライアンスは、薬物療法中の症状の程度や、過去の症状や経験に依存することが分かった。
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